ベトナム戦争時に良く使われていたH-189のハンドセットを実物から採寸して3Dプリンタで作ってみました。
H-189のハンドセットを無線機で使えるようにハンドセットから改造してほしい。
という依頼を受け、預かった実物ハンドセットがこんな感じ。
年代ものなのでけっこうボロボロです(^_^;)
無線機はデジタル簡易無線の無線機(写真左)でそのハンドマイクの中身をH-189ハンドセットに内蔵できないか?
無線機はスタンダードのやつでVXD-450という製品です。
そんなチャレンジな依頼。
さらに、ラウドスピーカーからその音声を出力してほしいという依頼も、、、
自分はナム戦の装備はM16とかヘルメットをちょこっと集めた程度で、この辺の装備はさっぱりわかりません。
調査
ともあれ、いろいろ調べてみました。まずは動作ができるかの確認
ラウドスピーカーの内部には配線図が入っていたので、だいたい理解できそうです。
信号を増幅するトランスが入ってます。
ハンドマイクにはスピーカー接続用の端子がついているので、そこから信号を送ってみる。
白がプラスで黒がマイナスでつないでみると、無線機側の出力を大きくするとそれなりに音が出ました
ちょっと出力が弱く、ラウドではない。
2極のジャックでつなげば普通に音がでるので、3.5mmジャックでスマホと接続すれば普通にモバイルスピーカーとして使えそう。
めちゃ重いけど
3.5mmプラグのケーブルに置き換えたもので作成
およその仕組みが分かったところで、分解してH-189の内部に入るかの確認を行います。
この内部の緑の基板がハンドセット内にはいれば大丈夫そう。
中央がスピーカーで、各配線が信号線、電源線ボリューム調整用の線とかになってます。
外部出力端子は端子を挿すとプラグが端子を押し上げてマイク側スピーカーをオフに切り替えるようになってます。
設計
全体の設計を行う前にH-189のサイズ感を確認しました。
↓画像の黄色いボタン部分にさっきの基板がはいれば実現可能そう^^)
見た感じ、内部スペースは結構ありました。というか無駄が無い。
受話器のカバーが割れていたので、補修ついでに3Dプリンタで出力してかぶせてみます。
以前、グレネードのレプを作ったときはネジピッチを調べるのが大変だったので、実物のカバーを調べることで適正なピッチを探しました。
やはりというか、ネジピッチはインチがベースでした。
色を塗って確認したところ、色を塗ると、端部の丸みやデザインの造形が若干甘いのがわかる。
で、全体を設計していく。内部構造を考えつつ、配線できるように中空部分を設けてます。
↓はだいたいできたところ
出力します^^)なかなかデカい!
というか、ネジ山を出力する関係で出力方向がかなり限られるので、結果、サイズはギリギリになりました。
実物と比べてみます。全然丸みが足らないですね!ここからヤスリで削ってサポートのブツブツを削ったり、実物と合わせながら、設計に反映させます。
先ほどの無線機のハンドマイクを収めるスペースは充分確保できそうです^^)
丸みを出すために半日かけてひたすら削り込み、、、PCで設計を修正し、各パーツを出力
無線機のハンドマイクをばらして基板を取り出して、スイッチ機構を作成しました。
本体のケーブル部分はこんなふうになってます。
中央に実物同様にメインのケーブルを差し込み、下側の穴は3.5mmジャックを差し込んで外部スピーカー(今回のラウドスピーカー)に接続するもの
刻印はまあまあいい感じにデザインできました。
スイッチのパーツ
スイッチの機構は無線機のハンドマイクの基板に合わせて造形したらこんな感じに
スイッチに使うバネも選定して取付、ある程度のストロークを確保して接触するようにしています。
スイッチ部のカバーは実物は鉄の板ですが、厚みが2mm近くあり、再現するのは難しそう。
なので、これも3Dプリンタで作成。サイズが合ってなかったりして再作成したりします。
スイッチ部分はゴムのカバーがついてるのですが、材料がなく、入手するまで時間が掛かるのでとりあえず裸で作成を進める。
スピーカー、マイク部の設計
ハンドマイクのスピーカーを移植する為のケースを作成
スピーカー本体を挟み込んで固定し、それをカバーでさらに固定する。
もともとの実物と同じ様なサイズにしてます。
マイクもこんな感じで同様の仕組みで固定できるように設計
ボタン
ボタン部のパーツはフレキシブルレジンで出力してみました。※後で千切れて失敗
その②へ続きます。